進化しすぎた脳

少し前まで、論理哲学論考数学基礎論あたりの分野の本を
つまみ読みしていたのですが、最近は脳科学の分野に流れてきました。


これらの分野は一見全然関係なさそうですが、たまに繋がっていたりして
面白いです。脳科学の本に哲学の用語が出てきたり、哲学の本に書いてある
ことが、数学基礎論の本に書いてあることとそっくりだったり。


つまみ読みしてると、哲学は言葉の使い方がちょっと異質ですね。
既存の言葉に新しい意味を定義したり、新しい言葉を発明したりして、
使っちゃうことが多いように感じます。
要するに読みにくい本が多い。


脳科学で、最近の「当たり」の本はこれです。


進化しすぎた脳
進化しすぎた脳
posted with amazlet on 07.04.02
池谷 裕二
講談社 (2007/01/19)
売り上げランキング: 294


若手の脳科学者である著者が、8人の高校生を前に講義をした内容を、
喋り口調のままに本にしてあります。
おそろしく読みやすく、すらすらと読めてしまうのですが、書いてあることは
先端的かつ衝撃的な内容ばかり。
著者が若いせいか、テンポ良く勢いがあって、講義の内容は、いわゆる
「科学」ではタブーとなるような領域にも勇敢に踏み込んでいきます。


例えば、第二章では、
『人間の目は100万画素、ケータイのカメラにすら負けるような解像度なのに、何故世界がギザギザに見えないのか。』
というような、「え?」と思うような話題、身近な題材から話が始まって、最終的には、
『私たちが「意識」だと思ってることの大半は「無意識」で、人間は脳の解釈から逃れられないのだ』
というような、哲学の領域にはみだすようなところまで話が進みます。


体系的に脳科学を学ぶ、といった内容ではないのですが、だからこそとても面白いです。
読んだあとに、ちょっと世界の見方が変わってしまうような力を持つ本です。


ハードカバーで出た時に本屋で見つけて、ちょっと気を引かれはしていたのですが、
最近文庫(ブルーバックス)になって値段も安くなり、加筆もされています。