復活の日?

2007年夏、日本から虫の声が消えた。


最初にそれに気づいたのは田舎に住む者達だった。
地方の交番の調書として7件の記録が残されていたが、
しかしその声は中央に届くことなく、まだ世間は異変に気づかないでいた。


数ヵ月後、都市部の住民が、夜の異常な静けさに気づき始めた頃、
農水省文科省に極秘裏にプロジェクトチームが発足したが、
その頃には世界各地で昆虫の異常大量死が報告されはじめており、
すべては、最早――どうしようもないほどに、手遅れだった。


これは、人類を襲った未曾有の災害、生態系大崩壊の時代の物語。
自然の気まぐれに必死に抗い生き延びようとした、
残る力全てを「箱舟」に託して散っていった、
その時代の人間たちへの挽歌である。


という話はどうか。いやどうかって言われても。