むし。

煙草を吸おうと灰皿に目をやると、1匹の小さなむし。
緑色のケシゴムカスのような小さな体からは、
糸よりも細い足が6本、触覚が2本。


そっと指先にのせてみる。
手の甲を歩き回っているのに、軽すぎてまったく何も感じず
それでも糸のような足を一生懸命うごかして歩いてる。
あるんだか無いんだかわからないような細い足のくせに、
ちゃんと1本1本独立してうごくなあ。


何かの幼生かな。足が6本だとクモじゃないよな。
バッタの幼生はもっとしっかりバッタだよな。


そんなことを考えて、ウェブの昆虫図鑑を見ようと、
ちょっと目をそらしたら、もういなくなってた。


まあいいや。この部屋で暮らしてもいいよ。
踏んじゃったり掃除機で吸っちゃったりしたらごめんな。


そんな独り言を頭の中でもてあそびながら、煙草に火をつける。