ブサイク軍

予想外に休日出勤が早く終り、汗をふきふき家に辿りついてPCを立ち上げ、
何となくファイルの整理などしていると、学生時代に書いたテキストが
目に止まった。


内容は、青梅の辺りから多摩川を下って東京湾まで、大体160kmくらいを
10時間かけて自転車で往復した時の日記などで…
まあ、今読むといかにも学生が書きそうな稚拙な文章なのだけれど。


読んでいるうちに、汗ダルマでワケの分からない歌を歌いながらオシャレ通りを
駆け抜けた記憶や、夜、雨のふるなか、ずぶぬれでナキベソをかきながら
コンビニの前にしゃがんで弁当を食った記憶が蘇ってきた。


なんだかいても立ってもいられなくなり、頭に手ぬぐい、色あせたTシャツ、
短パン、サンダル、無精ひげ、という、その頃のブサイクな格好で外に飛び出した。
しばらく乗っていなかった自転車にまたがり、休日の夕方、カップルで賑わう
恵比寿、広尾、麻布、といった辺りのオシャレ通りを、その格好で2時間ばかり走り続けた。


あの頃の何か、自らブサイク軍軍曹を名乗り、オシャレなもの、カッコイイもの、
流行ものに目を背け、人が左と言えば右に向かって爆走していたような
意味もなくぐつぐつ煮えたような何かは、今はもう無いけれど。
静かになった鍋の底から、泡がひとつ、ぷかりと浮かんできたような気がした。